論文は何のために書くのか

科学百科事典出版社『情報科学』チュチェ110(2021)年 第1号より、日本語訳は管理人


偉大な金正日総書記は、次のように述べている。

「科学と技術を速く発展させられるかそうでないかは、全体的に、科学技術発展の直接的な担当者かつ主人である科学者や技術者が、どのように努力し、闘争するかに掛かっています。」(『金正日選集』増補版 第15巻 494ページ)

チュチェ52(1963)年11月9日、金日成総合大学での出来事である。

大学図書館で卒業論文執筆のための資料収集をして、外に出たある学生は、庭園にて不意に金正日将軍と出会うことになった。

金正日将軍は、彼を明るく迎え、論文の題目は何か、論文が現実的にどのような意味を持つか、とやさしく尋ねた。

理論物理学を専攻していた彼は「任意の特性をもつプラズマ媒質のもとで電荷と固有磁気モーメントをもつ、超光速素粒子の輻射問題を解決しようとしている」としながら「現実とは少し離れているが、まだくわしく解明されていない問題」であると語った。

若くして大学を卒業しながら、学会の未解決問題を論文として扱い、波紋を起こしてやろうという、勝ち気に満ちた声であった。

金正日将軍は、慎重な表情を浮かべながら、他の学生たちもそのような問題を論文題目に選んだのか、と聞いた。基礎理論問題を論文題目として選ぶ学生が少なくないことを聞いた将軍は、残念そうな顔をした。

金正日将軍は、しばらく黙ったのち、彼の疑問をほどくように「卒業論文は、大学での学習過程の総和であり、専門家としてどれほど科学理論的に準備されたかの証拠となる」と言い聞かせながら「卒業論文の題目を正しく選定できなければ、論文を書いたとしても、国の科学技術発展の役に立たない」と述べ「卒業論文の題目は、基礎科学的な問題や、国の社会主義建設において切実に解決が待たれる科学技術的問題を解くために寄与できる問題を選ばなければならない」と強調した。

将軍の教えを受けた彼は、一種の「野心」を持ち、いかなる現実的価値も持たない論文を書こうとした、自らの失敗に気付いた。

金正日将軍は「卒業論文の題目は、新しい科学分野を大胆に開拓し、最新科学技術分野の成果を人民経済に取り入れることにおいて提起される、重要な問題を解くことに寄与できる問題としなければならない」と言い、「原子力を人民経済に利用するための研究事業をすることにおける問題を、題目として選ぶこともできるだろう」と教えた。

彼の顔は明るくなった。

ついに見出しが定まった。

国の科学技術発展に寄与しながらも、新たな研究分野を開拓できる論文の主題が浮かんできたのだった。

彼は、金正日将軍への感謝で胸がいっぱいになった。

結局彼は、祖国の現実に足をつけ、高速度ロケット先頭部の合理的なモデルに関する問題を論文題目として選び、探究に探究を重ね、論文を立派に完成させた。彼の論文は、卒業論文以上の学術的価値を持つものとして評価を受けた。

その後、彼は数多くの論文を執筆し、現実に具現することで、国の科学技術発展に大きく貢献したが、新たな論文に取りかかるたびに、自然と自分に対してこのように問いかけた。

―論文は何のために書くのか?個人の名誉のためか、祖国の繁栄と人民の福利増進のためか?

そんな心の問いかけ、良心の問いかけに対し、このように答えた。

―個人の名誉のためではなく、祖国と人民のためだ。

その答えは、はるか前の、大学の卒業論文を執筆していた日々に、金正日将軍が教えてくれた、愛国愛民の答えであった。


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